■トリクル・トリクル~雨の魔法~

ロゼッタの雨傘はピーチから譲られたものだ。
星空の彩りで雨をかきわけ、公園を歩く。
「これが紫陽花というものですか」
ロゼッタには見慣れない、珍しい花だった。
一見ひとつの大きな花は小さな花の集まりで、一本の木を飾る花は無数。
紫陽花の名所で知られるこの公園にはどれだけの花があるのだろうか、と森の奥を見つめてしまう。
「この花は雨の季節に咲くんですよ。晴れている日はあまり綺麗じゃない」
ロゼッタの住む銀河とは逆だな、とワルイージは心中で呟く。
静かに恵みの雨が降る森は、花の集まる宝石の銀河だった。
「紫、という字が含まれているのにあなたの色はありませんね」
少し寂しそうにロゼッタは呟いた。
「薔薇はこの季節じゃないですねぇ。多分来月でしょうか」
この国の薔薇が初夏に咲くことを知るワルイージは笑いながら無垢な彼女に嘘を吹き込む。
七月七日が楽しみだ。

 

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ワルイージさんは卑怯です(挨拶)
トリクル・トリクルで「歩く」「宝石」「紫陽花」でワルロゼの指定を戴いたのですが、これしか思いつきませんでしたし書けませんでした。
これ以上長くすると少し違うかな、とかなりの短文です。
調べたのはバラの季節だけです。7月じゃなくて安心しましたw

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