あのときは、ごめん

信頼がある。
協力しあい、笑いあい、泣きあうことが出来る。
「……ごめんなさい」
「君はすぐに謝る。君は何も悪くないのに」
「謝ってばかりのあなたに言われたくはないわね」
「すまない」
表情の乏しい彼なりの沈痛を示す。
「ほら、また謝る。悪い癖よ。あなたはいい人なのに」
「そうかもしれないな」
心からの賛辞に心のない返答が返る。
「あの時はごめんなさい」
「いつのことだろうか。色々ありすぎたな」
「いつでも、よ」
困ったようにふわりと笑いヴィレッタを包容する。
許して欲しい。
あなたに赦しを与えられない私の弱さを。
「私をゆるして……」
「俺で良ければいくらでも」
あなたにしか出来ないことを気付かない。
それを私だけは許す。

 

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複数お題提供ありがとうございます。
ヒューアク希望他カプOK、ということでいくつかヒューアクで書いたので遠慮なくギリヴィレにしました。
お題「あのときは、ごめん」で謝りゆるす話です。
かなり辞書的な話ですが、公式のギリアムは「すまない」とばかり言って許しを求めていません。
ヴィレッタは「ごめんなさい」も「すまない」も言っているはずです。

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