英雄の熱動

夢を、見た。

『全ての世界の愚民どもよ!! 見ているか? 俺様はカイザーベリアルだ!! これからヒーローどもの処刑を執り行う!!』
高らかに宣言する者はどことなくあの世界の『ウルトラ族』に似ていたが、禍々しい負の力を感じる。
そしてその背後で磔にされているのは、三人とも良く知る、そう、良く知っている――

「アムロ!!」

自分の声で目が覚めた。
これは予知夢なのだろうか。
そうだとしたら、あの世界にまた帰れる時が来るという――
「馬鹿げている」
その可能性は自分で棄てた。
部下は相変わらずだし、久しぶりに会うジョシュア、リアナ、グラキエースも元気そうだった。
そして、彼女も。
「ギリアム少佐、お呼びいただいて光栄です」
「ああ、ヴィレッタ大尉の力が必要そうなのでね」
わざとらしい丁寧語にこちらもわざとらしく階級で呼ぶ。
――そういえば彼も大尉だった。
どうしても夢の内容が引っ掛かる。
彼らが悪に屈して処刑される――それを為すのは自分だったかもしれないという可能性を考えればそれはないことではない。
だが彼らは勝利した。だから自分はこの世界にいる。
そしてこの世界で勝利を重ねた結果が今の世界であり自分自身の存在だ。
「ジョシュア、グラキエースの戸籍は用意しておいた。身分証は君が預かっていた方がいいだろう」
「ありがとうございます、ギリアム少佐」
「何か知らんが私のことで迷惑をかけたようだな。感謝する」
今も、誰かの力になっている。
だから勝利を重ね、仲間を――この世界のものに限らず――信じ続けることが『生きて償う』ことなのだろうと思う。
だから、夢がどこかの世界での出来事だったとしても、絶望はしない。
彼らは必ず立ち上がる。そして勝利する。
彼らこそが『エルピス』なのだから。
「ところで少佐、寝不足? あまり顔色が良くないけど」
「君がいれば元気爆発さ」
「ついでに絶対無敵熱血最強完全勝利、って? 誤魔化されないわよ」
「ふふ、何なら確かめるかい?」
「え、ええっ!? ギリアム少佐とヴィレッタ大尉ってそういう関係だったの!?」
「こら、リアナ!」
「いいじゃん兄貴!」
騒がしくなってきた。
この世界は、色々あるが平和だ。
夢に出てきた世界の彼らが勝利を掴むことを、また強く確信した。

 

スパロボワンライ。お題は「勝利」でした。
ロストヒーローズ2発売直前!ってことでそのネタを入れてみましたが宣伝臭ヤヴァイ。でも波多野さん工作員じゃないですw

 

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