情サーの姫!?

挨拶をする暇もないくらい目まぐるしく出入りするのがギリアムと彼の率いる情報部である。
それが実に久しぶりに彼のパイロットとしての腕前と前線の方が情報を集めやすいという事情から鋼龍戦隊に同行するようになった。
「んん!? ギリアム少佐、見慣れない女の子連れてますね!?」
「ああ、うちの新入りだ。サイカ少尉、挨拶をしておけ」
「はい、サイカ・シナガワ少尉です! エクセレン少尉に会えて光栄です!」
「あらん? 私って結構有名人?」
「はい、私情報部に入る前は伊豆基地から近辺のアミューズメントスポットでバーニングPTのデータ回収を行っていたので」
「最近のバージョンは実在エースのデータを使ってるんだったかしらん?」
「連邦軍制服着ながらの勤務でしたがコスプレと言い張って何とか任務を完遂しました!」
「それが何でギリアム少佐の部下になったのか色々聞きたいわねん。ギリアム少佐、彼女をお借りしても?」
「ああ、ちょうど休息に入ってもらおうと思っていたところだ。サイカ少尉、これも社会勉強だと思うといい」
「はい、行ってまいります。よろしくお願いしますね、エクセレン少尉」

休憩室の片隅でエクセレンとサイカ、そしてエクセレンが呼び出したヴィレッタがコーヒーを片手にテーブルを囲んでいた。
「仲良くするのはいいことだけど何で私まで呼び出されているのかしら?」
「だってだって気にならないですか!?」
――ギリアムとヴィレッタはいい仲である。
その噂は事実関係があやふやなまま鋼龍戦隊の常識と化していた。
「彼女もちょっとワケありでね。軍属になった時はもう将来的にギリアム少佐の部下になることが決定していたの。それで経過観察とギリアム少佐との連絡は私が担当していたわ」
「諜報員としてのイロハはギリアム少佐よりもヴィレッタ大尉に教わった部分も多いんですよ」
「むむっ、ギリアム少佐そこまでサイカちゃんに入れ込んでいたってこと?」
すました笑顔といつものクールな微笑を見比べながらエクセレンは疑問符を増やしていた。
「それにしてもギリアム少佐のところは男所帯だったはずだけどそれってもしかして逆ハー状態!?」
まばたき数回。そしてまたくすりと笑う。
「大丈夫ですエクセレン少尉、私にも選ぶ権利があります」
「さりげなく酷い発言!? でも実際ギリアム少佐ってイケメンだしエリートじゃない。いつも一緒にいて何か思うところはないのん?」
「凄い人だなぁ、とは思うんですけど一言で言えば好みじゃないです」
滞ることなくすらすら答えていく。
新入りとはいえ情報部だ。己の情報を隠すのは得意だろう。
だがエクセレンの女の勘が告げていた――サイカは本気で言っている。
「私もっと男らしくて地に足がついた人が好みです。光次郎先輩も怜次先輩も壇先輩も頼れる先輩ですけどそういう対象じゃないです」
「裏を返せばギリアム少佐は男らしくないし地に足がついてないと……」
「私たちの制止を振り切って単独行動とったこと数えきれないほどありますし」
ふふっと笑ってヴィレッタはコーヒーに口をつける。
「ギリアム少佐に惚れるのなんて彼の表面的な部分しか見てないか彼の無茶にそれでこそ、と思える人くらいよ」
「お姉様は後者、と……」
「ちょっと無茶は抑えて欲しいけどね」
ヴィレッタは微笑を崩さずコーヒーに口をつけた。
「でも逆ハーって女の子の憧れじゃない!?」
「相手が少佐と先輩たちでもそう言えますか」
ギリアムの部下たちの顔を思い浮かべる。
ルックスは決して悪くないが漫才トリオという言葉が似合うようなやりとり。
勿論情報部としては優秀なのだろうが。
「少佐たちには悪いけど凄い説得力ねん」
「勿論色々気遣ってくれる所はあるんですけど、お互いそういうのじゃないです」
「それにエクセレン、あなたは逆ハーレムに憧れるかしら?」
ヴィレッタの切り返しに少し照れ笑いしてエクセレンは答えた。
「私はキョウスケがいればそれでいいかなーって」
「つまりはそういうこと、よ。誰もがハーレムに憧れる訳じゃないわ」
そう結論付けて、話題はようやくサイカの自己紹介になっていったのだった。

 

ワンライ『ハーレム(?)』の(?)部分に夢を全力ベットした小説。
MDの一番の衝撃がギリアムさんの部下にネームドの女の子が来てしまったことですね!
いくらあの3人出せないからって!と理不尽なものを感じないでもなかったですが、サイカちゃん自体は好みのキャラなのと、
紅一点というか妹ポジションいる情報部が楽しそうに思えてしまったのと、
MDのギリヴィレ描写見るに障害になりそうにないので結構彼女のことが気に入ってしまった単純な私。

 

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