長き夜を越え、花園で待つ

SRXチームの詰め所に春の花が届いた。
贈り主はギリアム・イェーガー少佐。
女性陣宛て、花籠3つ、それぞれへのメッセージカード。
「花言葉も選んでありますね、これ」
アヤが目を丸くしている。
「隊長には普通に愛の花を取り詰めてるのに、私とマイには親愛だとか希望なのが……」
「隊長の分だけ花が多いな。羨ましいぞ」
公然の仲なのに何のアリバイ作りだろうか、と疑問になってしまうが。
「ギリアム少佐ってプレイボーイだよなぁ。絶対机の上にチョコ山積みにしてるしホワイトデーの予算組んでる」
理解していない約一名の反応を見るに極度の鈍感または鋼龍戦隊外には通用しそうなカモフラージュである。
――少し、恨めしく思う。
リュウセイの言うように彼の机の上にはプレゼントが山積みで、おまけに任務の都合でしばらく不在にするというのだから。
一方通行の想いはギリアムに用意したプレゼントを渡すまで落ち着かない。
共に一夜を過ごすワインと彼を繋ぎ留めるネクタイを選んでこの日を待っていたのだが――
ふわり、と香った花に後ろ向きな思考を阻害される。
彩りの中央に座する真紅のバラの花言葉はヴィレッタでも知っている。
「香りがいいわね。長く持つように保管しないと」
手元の端末で保存方法を調べ、さりげなく彼にメッセージを送った。
『長き夜を越え、花園で待つ』

 

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バレンタイン駆け込みギリヴィレです
新西暦のバレンタイン(特に極東基地)って海外準拠か日本のチョコ祭りかかはかねてからの疑問です
尻切れですが続きはR18になるので気が向いた時にでも

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