■閉じたのか、開かれたのか

セリスたちが掲示板の前で何やら騒いでいる。
「召喚師殿、今は彼らに近付かない方がいい」
シグルドが耳打ちする。
そんなことを言ってもお前も期待しているひとりだろう?と問うと困った顔をする。
今回召喚が可能になったのはキュアン、シルヴィア、レヴィン――いずれもシグルドと共に在ったユグドラルを取り巻く戦いの歴史、『聖戦の異界』の英雄だ。
「確かに彼らに会いたいし子らが親と再会出来ればと思わずにはいられん。しかしこればかりは……」
「アハハハハハ! お前たちは愚かだな!」
ユリウスの高笑いが広間に響く。
皆が振り返った。
「僕や父上のように勝てば契約を結べるって訳でもない、本当に召喚出来るって保証なんてどこにもないのに何でそんなに騒げるんだい? ねえ、教えて欲しいな、兄さん」
セリスに歩み寄り勝ち誇った笑みを見せる。
「これまでが運が良かっただけなんだよ。兄さんがユリアといられるのも。シグルドや母上が召喚出来たのも。他の連中とここで会えて良かったって言えるのも」
「にいさま、やめてください……!」
「ユリア、お前には言っていない。鬱陶しいから黙ってくれるかな? 僕は兄さんに聞いてるんだ。お友達の父上や母上が召喚出来るかもしれない、なるほどそれは喜ばしいことだ。でも召喚出来なかったらどうするんだい? 召喚師を責めるかい?」
「ユリウス……! だが貴様の言うとおりだ。私は過ちを犯すところだった」
ユリウスは背を向け舌打ちをする。
「つまらないよ。もっと怒るかと思ったのに興醒めだ」
そのまま召喚師とシグルドの前を通りささやく。
「これでいいんだろう? 召喚師。気まぐれなロプトの祝福さ。結果がどうなろうと僕は楽しませて貰える。必死にオーブを集めるがいいさ」
「ユリウス、お前は……」
「黙れ、バルドの末裔ごときが。セリスと言葉を交わすのは彼もロプトだからさ」
嘲笑して広間を去る。
「……それを言うなら君もヘイムでありファラだろうに」
シグルドが溜め息をつく――暗黒神ロプトの祝福と言ったがユリウスの行動は『ファラの正しさ』に見えたなどと、本人に言うわけにもいかないから。

 

聖戦ガチャ書けば出る教です!
召喚イベント名が『運命の扉』なのああ……って感じですが(語彙)どこかで見た聖戦原作のこの章タイトルへの反応をSSタイトルにしてみました。
聖戦はホリンとアルヴィス様とシャナンが飛び抜けている以外は『聖戦という世界が好き』なので出たら全力で課金せざるを得ない。
個人的にヒーローズのユリウスはロプトではなく『ロプトを演じているユリウス』だと思っています。

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