■きっと、選ばれし者に

試着室から出て来たオフェリアは、上目遣いでゆっくりと回転した。
ソレイユは目を輝かせている。
「ど、どうかしら……?」
「どうもこうもない! すっごくいいよオフェリア! うーん、もう我慢出来ない! あたしのお金で一式買ってあげちゃう! 店員さん、お願いします!!」
「え、いいの、ソレイユ!?」
「女の子が、特にオフェリアがもっと可愛くなるならあたしは投資を惜しまないよ! それに可愛い服が欲しいって言ったのオフェリアでしょ。オフェリアが本と石以外に興味持ってくれたのが、あたし本当に嬉しくて! だからその服はあたしからの記念のプレゼント!」
オフェリアが元々着ていた服を畳んで袋に入れてもらい、彼女に飛び付いた。
「わ、私だって年頃の乙女なのよ。オシャレにだって興味あるわ。それに私はフォレオの臣下だもの。フォレオはとてもオシャレだから、私もちゃんとオシャレしないとフォレオに面目が立たないわ」
「はあ……エポニーヌも趣味はアレだけど地は可愛いしフォレオは男の子だけど凄く可愛いし華があっていいなぁ……じゃ、次はお茶しよう! 可愛いオフェリアを特等席で眺めながら話が出来る、何て素晴らしいんだろう! 感激で倒れちゃうかも!」
「倒れないでね……?」

ジュースとケーキを注文し、2人の顔が綻ぶ。
「流石ソレイユね、このお店のケーキは最高だわ。きっと選ばれし者が食べるに相応しい神名が……そうね……」
「あ、あの、オフェリア、名前考えるのもいいけどあたしのお願いも聞いてくれないかな? 服とケーキのお返し……って言ったら恩着せがましいけど」
「お願い? 何かしら?」
「その……オフェリアは父さんの母さん……おばあちゃんの話って聞いたことある?」
「小さい頃よく言われたわ。髪の色は母さん似だけど、それ以外の見た目はおばあさま似だって。顔付きも、癖っ毛も……慈愛に満ちた優しい方だったって」
ケーキを食べる手を止めてしみじみと語る。
聞き手のソレイユも真剣な面持ちだった。
「オフェリアはおばあちゃん似なんだ。いいなぁ……あたしのおばあちゃんは旅の踊り子で、父さんも踊りが得意なの。なのにあたしは踊りも歌もぜんっぜんからっきしで……才能がないんだってわかってる。でもさ、オフェリアのおまじないで踊りが上手くなれないかな、って」
「ソレイユ……」
「そしたら父さんも喜んでくれるし、あたしの理想のカッコいい女の人に一歩近付けるかな、って」
「……無理ね」
ジュースを一口飲み、オフェリアは言い放った。
「そっか、オフェリアでも無理かぁ」
「才能がないって諦めてたら、どんなおまじないも効かないわ。ソレイユには父さんの戦友であるラズワルドさんの血が、選ばれし者の血が流れている。それはソレイユのおばあさまから受け継がれて来たものなのよ。ソレイユが自分を信じて努力したら、きっとあなたも踊りの精霊に選ばれし者になれる」
「オフェリア……」
「だからソレイユが少しでも自分を信じる手助けになれるように、帰ったらお守りを作るわ。諦めそうになった時はそのお守りを握って思い出して。ラズワルドさんの素敵な踊りを」

 

覚醒組の娘たち。この2人大好きです!
支援A後は無二の親友になれていると信じて疑ってません!

 

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