■悔恨

国には居場所がなかった。
必要とされているのは『王子』という国の歯車だけ。
父と側近たちの傀儡になるのが運命付けられていた。
だからアイトリスを訪れても何も言われなかった。
むしろ侵略が容易になるとすら捉えられていた。
「ダリオスよ。そろそろお前も良い年頃だ。婚姻などどうかな……そう、例えばアイトリスの姉姫などは」
――だから。
「御冗談を、父上。アイトリスごときが相手では我がグストンの名に傷が付きます」
だから、この想いを誰にも悟られる訳にはいかなかった。

「ねえ、ダリオス。秘密の話よ。私、王位を継ぐことの重要さを本当はわかっているの。でもね、やっぱりシオンが王になるべきだと思うの……私がグストンのお妃になったらアイトリスとグストンの関係はもっと良くなるはずだから」
だから、そんな期待を込めた眼で見ないで欲しかった。
「ははっ、リアンはちょっと俺の手には余るかな」
「ひどい! どういう意味よ!」
だから君に相応しい王になりたかった。

シオンもリアンも新しい友を得て遠くなっていく。
対して俺は、侵略者の同朋。
何故だ。
何故何もかも俺の思うようにならない。
何故リアンの望むように、俺がグストンの全権を得てアイトリスとの良好な関係を築けなかった。

『力が欲しいか?』

駆け巡る問いに全力で応える。
その結果に気付いた時にはもう遅く――――

――リアン。
俺は君に何をしてあげられただろう。
間違えなかったなら、君と結ばれることも出来たのか?
でもきっと、そんなことを考えてしまう時点で、俺は君に相応しくなかったんだろうな――

 

FE無双ダリオス×リアンでダリオスの秘めた想い。
リアンは絶対ダリオスのこと好きだったしダリオスも娶る気はあったんだろうけどしがらみとかコンプレックスとかで表に出せなかったんだよー!的な。
このカプの同志欲しいです(焔しか見たことない……)

 

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