涎下りのスーパー女子高生

放課後は校門前で待ち合わせるのがジークとサリーと光珠の約束だ。
ただ、今日はサリーと光珠が来なかった。
2人は同じクラスなので、そこで何か問題があったのだろうとジークは校庭を引き返す。

「もう食べられないよおぉぉぉぉ」
「何そのベタな寝言!?」
そして教室に入った途端光珠のいつも以上にとぼけた声とサリーの呆れ声が届いた。
「あ、兄さん。ごめん、待ったんじゃない?」
「ああ。あまりにも来ないから迎えに来たらこのザマだ」
机に突っ伏して顔面だけ日当たりのよい南向きにしていることといい、
広げたノートにミミズが這っていたのはわずかな区間だけで残りは白紙であることといい、
少々とぼけた性格の普段の光珠から見ても、別人のようにしまりのない寝顔といい、
『私はとても気持よく寝ています!』
と全体で表現している。
サリーや他の学友が揺すっても起きないのだという。
サリーの持つガディソード製の小型測定器によると、バイタルの結果は全く異常なし、単なるうたた寝であるということだった。
「全く、ヨダレまで垂らしちまってよ」
これが本当に地球を、宇宙を救ったパイロットの1人なのだろうか。
本人はよく「普通の女の子になりたい!」と言うが、彼女の場合普通でないのはその傍若無人な言動であり、割と普通の女の子だとジークは考えている。
無論、その真摯さがジークとサリーを救ったのではあるけれど。
「おら、光珠、起きろ」
肩を揺さぶる。
僅かな反応。
「ジーク……?」
焦点の合わない目でジークをぼんやりと見つめる。
「好き」
「は?」
「大好きぃ」
まだまだ正気を失った目で光珠はジークを抱きしめる。
「えー、いちゃつくなら学校の外でやってくれないかな?」
「外でもやらねぇよ! つかこれホントに寝ぼけてんのか!?」
「ジーク、好き。ジークに会えて変われたんだよ、私」
「兄さん! とりあえず光珠の目が覚めるような衝撃的な一言を!」
「衝撃……衝撃か……よし!」
襟元を正し深呼吸。
「ちゃんと起きて聞けよ。覚えてないとか言ったら許さねぇ……愛している。お前のお陰で今の俺がいる」
ぴくりとまぶたを動かし、ジークを抱きしめた手も慌てて話す。
「!!!! びっくりした! 夢でジークがいたと思ったら現実でも!」
「うし、起きたか。とりあえずヨダレ拭け」
「あ~い。でも覚えてるけどよく聞こえなかったんだぁ。愛して……何?」
「わかっていて言ってるだろこの野郎!」
「もう一度言ってほしいのよ乙女心がわからないのね!」
「わかりたくもねぇ! お前自信には興味があるが乙女心とかいう訳分からん概念に興味が無い!」
「はいはーい、2人ともいちゃつくのは外でねー」
サリーに引き摺られるように2人は廊下に出るが、それでも痴話喧嘩は続いた。
それは勿論、帰路に至るまで。
「つかお前授業くらいちゃんと受けろよ」
「フェアリさんが教えてくれるからいいの」
「……私はこの2人のうまい扱い方知りたいな。面白い扱い方じゃなくて」
それでも影は伸びる。明日の日を迎える方向に。

 

スパロボワンライ用SS。お題は「うたた寝」でした。
ジー秋はスパロボ男女カプではギリヴィレの次くらいに推しているカプなんですが、公式の絶対無敵ぶりに勝てず超絶久々です。
ただこういう頭悪いネタは短期間でネタを練って1時間で書くというワンライの性質に合っている気がするので、これからちょっとずつ増えるかも。
まあちょっと今回の頭の悪さ(私の)は行き過ぎた気がしますがw

 

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