二人の黒天使

死を以て因果から解放された彼と、未だに生きながらえながら鎖が解けない俺はどちらが幸せなのだろうと考える。
因果の鎖から逃れようもなく縛られているとはいえ普段の生活はむしろ平穏――とは言い難い戦闘だらけだが――で幸福感すら覚える。
だがこの幸福は続かない。
彼の後継者は未来を繋ぐ。
俺は、誰に、何を託せばいいのだろう。
俺がむしろ、託される側だ。
「或いはお前に託すのもいいかもしれんな、イングラム・プリスケン」
虚空に向かって呟く。
勝手に託すな、という声が聞こえた気がした。
「お前とはもっと別な形で出会いたかった」
だが何となく感じるのだ。
別な形で出会って、それでも戦いが避けられなかった世界があるのだと。
「そちらはどんな感じだ? 俺もそのうち行く場所だから聞いておきたい」
届くはずのない問いに返る言葉は当然無い。
「……早く帰ってこい、待っている人がいる」
だがこの言葉だけは、届いたと信じたかった。

 

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OG1の頃書いてあった奴を発掘しました。
ギリアム&イングラムです。
こー……フラグ立ってますね。
因子揃いましたね。

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