■私のこころ

「これは重要な選択だよ」
こころがキュウッと締め付けられた。
鼓動も高まっていくがこのからだはサギのものだから、きっとこれはサギのこころのせいだ。
だが私に肉体があったとしたら、同じように鼓動の高まりを覚えていただろう。
急速に強まってくる、私のこころのちから。
邪神の力の一片を持つ私のこころは、宿主であるサギのこころを脅かすまでになっている。
このままだと、主従が入れ替わってしまう。
私が肉体を得て、サギが私のこころに憑くようになる。
サギはそれでもいいと言っている。
残るは、私の決断。
――ちからが欲しかった。
伝説の精霊憑きには精霊から大いなる叡智とちからを授けられるという。
だが私はサギに何もしてあげられなかった。
サギは力不足に悩んでいたけれども、それは私も同じ。
どれだけのものをサギに与えたかったことだろう。
――――今の私なら本物の精霊憑きにも負けないちからが引き出せる。
そう、肉体を得ることが出来たなら。
あのアトリア戦場の時のように、強大な力を。
でも、それを選んだら、今の私たちの関係は崩れる。
私が精霊で、サギが精霊憑き。
その前提は、既に崩れてしまっているけれども。
『――私は、ずっと自分の事を精霊だと思っていたわ。そしてずっと、そうありたいと思う。邪神だろうと関係ない……私はあなたの精霊でいたい』
サギが笑ったようだった。
そう――――その笑顔を、失いたくない。
私のこころ、私のちから――私の全てはあなたと共に――――。
想いと共にサギの腕が強く光を放った。

 

バテン・カイトス2から精霊(?)→サギらしきもの。
「僕」か「私」かで散々悩みました。
バテンは2からはじめましたがめっちゃハマり1まで手を出しました。

 

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